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大学:結婚前

惚れた方が負け

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『切れるの別れるのって、そんな事は芸者の時に云うものよ…
   …私にゃ死ねと云って下さい。蔦には枯れろ、とおっしゃいましな。』
そんな一節を思い出す。


おれと沙穂子さんが並んで立つ。
それを辛そうな、今にも死んでしまいそうな顔で見つめる琴子。
しかし、わかっているとばかりに目を伏せてそっと顔を逸らす姿に、見えぬようにぐっと奥歯を噛み締めた。

ふと、【湯島の白梅】を思い出す。

夫同然の男、主税を他の女と添わせようとする酒井教授の逆らえぬ思惑に、別れを切り出された『お蔦』
酒井教授のモデルは金色夜叉の作家の尾崎紅葉。
そして大泉社長にふっと重ね、笑う。

きっと熱海の家族旅行の時、自分の将来を考えながら浜辺で暗い海を琴子と見たとき
金色夜叉の話をしたから連鎖的に思い出したんだろう。

あの時は、自分はこれからどうしたいのだろうと、やはりあの海に自分の心を映していた。
あの飲み込まれそうな海よりも今の自分の未来は暗く、深い。

愛する男と泣く泣く別れ そして、お蔦は…

馬鹿馬鹿しい。自分と琴子はそんな関係でもなかった。
そしてお蔦ほどやわな女でも無いだろう。

ただ、主税も自分も、愚かさが似ていると思った。



―――『直樹の独白』


あいつはおれが好きで
おれはあいつへの感情なんて考えることさえしなかった。

ただ事実としてあいつはおれを見ていて
それはおれがどうであろうと変わらない事実だったから。

おれは何度もあいつに確認をした。

「そのいじわるな男が好きなんだろ?」

あいつはいつも顔を真っ赤にしてそれに答える。

何年も、あいつを見てきて、それは変わらないものだと思っていた。
世間一般で言う、【惚れた方が負け】それの典型があいつなんだろうと思っていた。

主導権はいつも自分にあって、振り回されながらもおれは
あいつの行動をゲームとして楽しんで、我侭な行動を【許して】やっているつもりだったのかもしれない。

だからおれはおれの思うままに行動をしてきたし、
今回の見合いについても、おれが一番いいと思うような行動をとったつもりだった。

だけど結局は…おれは、あれだけ天才ともてはやされていても、
自分が言った言葉すらきちんと理解していなかったんだ。


「人の気持ちなんてわからないから きょう嫌いでも明日は好きになってるかもね」


それが、琴子にもあてはまるなんて、一瞬たりとも想像しなかった。


今日好いていなかった金之助を、明日は好きになっているかもしれない。

そして、相手の気持ちに寄りかかり、都合よくその好意について考えることも答えることもせずに
ぬるま湯のような心地いい愛情に浸るだけの関係の主導権は…

実際は【受け取る側】だったおれにに有った訳でなく、
【与える側】だった琴子に有った事を痛いほどに知った。

追いかける側が、やめてしまえば終わる関係。

それに気がついた瞬間に心が冷えた。心臓を氷で掴まれたようなそんな恐怖感を感じた。

琴子がこちらを見なくなれば、自分が今まで甘受してきたこの噛み締める事さえなかった幸せはただの砂。
その瞬間に気がつく。

自分の中に琴子という存在が住んでいたという事実。
それはいつも色々な顔でこちらを見て笑っていた。


好きだったんだ。

琴子が。


琴子は自分のものだった。
それなのに自分は誰の物でもないと思っていた。
深く相手を許した時点で、おれはあいつのものだったのに。


「琴子がプロポーズされた」

そんな事実を聞かされておれははじめて本当の意味で大事なものを失うという恐怖心を感じた。
捨てたと言い聞かせながらも必死に握っていた心の糸が、ぷつりと切れる。

離れる、離れてしまう。

おれはあれだけ身勝手に振舞いながらも、実際のところ何も捨てられていなかった。
むしろ気持ちの中では見苦しいほどに琴子にしがみつき続けていた。

他の知らない女を選ぼうと、琴子は琴子だと信じていた。
そのおれの理想の琴子が「常におれのものである」都合のいい妄想だという事に気がつかなかった。
だからおれが我慢すればいいと思った。
おれの立場が変わるだけだと思っていた。

そんなことは決して無いのに。琴子を一人の個として考えていなかった。
琴子はおれだったから。
「おれの一部」である琴子を我慢させるのはしょうがないことなんだろうと。


おれはもう、琴子を個として離したくなかったんだろう。
繋ぎとめるために、一生おれの一部でいさせるために。

「結婚」という道を選んだ。

鎖で繋ぐように。おれを好きだと言うのなら、羽根をひきちぎるように。
本人にプロポーズもせずに、事実だけを確認させて。


すべて都合のいいように、相手に拒否をされないように。
家族に先にそれを伝えて、了承を貰って、逃げられなくして。

卑怯だなと思いながらも、やっと居なくなりかけたおれの一部を取り戻した。



本当に惚れて負けたのはどちらだったのか。


「お前には降参したよ」

…ずっと負けていた。きっとお前に出会った時から。

ただ気がつかないように、気がつかれないように足掻いていた。
だから【降参】なんだ。



…お前の一生を絡め捕らえた上に、苦しいほどに抱きしめなければ、
『大好きだよ』のたった一言さえ伝えることも出来なかったずるい男。


___



琴子が蔦ならおれは名前の通り、それに捲かれた融通の利かない樹なのだろう。

おれはおまえほど強くは無いから 蔦が枯れる前に、おれが枯れてしまうよ。
結局のところ おまえはおれの我侭をききわけてくれていたのに、耐えられなくなったのはおれだった。

…おれがおまえに死ねと云ったなら。蔦には枯れろと云ったなら、その時はおれと枯れてくれ。



_______________

たぶんこれも『半身』という意識。
非常に未熟で幼い精神の高慢さが、見合いの一件の状況悪化の一端かなと。
湯島の白梅のお蔦の言ったこの一節が好きです。

蔦とかけまして、いとしい人と解く
その心は 
どちらにも捲ける(負ける)


おあとがよろしいようで

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