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大学:結婚前

罪と罰

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その日、おれは自分の過ちを認め、琴子を追いかけた。
耐え切れず抱きしめたあいつの体は雨で冷え切っていた。
それでもゆっくりと喉元から温もりが広がっていく。
三度目の琴子の唇は柔らかく、少し震えていたような気がする

そのまま強引に腕を引き、おれは両親の前で琴子との結婚を約束した




「お兄ちゃん ちょっと」

会社、結婚…今後について考えているとおふくろが書斎に入って来た。

「なんだよ」

思い切り顔を顰め、苦々しく見つめるが、そんなものはおふくろには何の効果も無いのも知っている。

おふくろが先ほどいきなり言い出した、二週間後の結婚式。
なんだかんだ言って自分にはもうこの予定を止められない事などわかっている。

ただ、それでも今まで自分がしでかしてきた事に対して、
会社へのけじめをつけてから琴子ときちんとした結婚をと考えていた自分には癪に障った。

「話があるのよ、お兄ちゃん。母としてじゃなく、女としてね。」
「へぇ。珍しいじゃんおふくろ。」

思わず目を細めて母を見る。
おふくろはにっこりと笑っているが実際は笑っていないのは長年の付き合いで分かっている。
嬉しそうに結婚式の日程を語っていた時とは様子がおかしい。

「琴子ちゃんについてなんだけど…琴子ちゃんはあなたが引き止めた時、なんて答えたの?」
「……別に」

それはあの雨の日の事を言っているのだろうと思った。
あの日琴子は、呆然としていた。そして嬉しそうな顔で夢のようだと呟いていた。

「琴子ちゃんは喜ぶばっかりで、あなたを責めたりは一言もしなかったんじゃないかしら。」
「……。」

言葉に詰まる。確かにそうだ。

「まあ、琴子だからな」
「そうよね。琴子ちゃん今凄く幸せそうだもの。」

スッと、自分の傍におふくろが寄る。


『パァン』


小気味良い音を立てておふくろの平手が頬を弾いた。

「だからあたしがあなたを叱るわ。」

いきなりの事に思わず目を見開く事しか出来なかった。
お袋の顔がスッと冷たいものになる。こういう顔を見ると、ああおれ達は親子なんだろうなと思ってしまう。

「琴子ちゃんは忘れないわよ。あなたが琴子ちゃんを裏切った事。」
「だろうな。」
「あの子は一生あなたの愛情を信用しないわ。」
「……」
「そしてあなたを恨んだりもしないわ。」
「…矛盾してるぞおふくろ。」
「あらそうかしら。」

ふぅ、とため息をつくと、おふくろはこう続けた。

「きっと琴子ちゃんは、もう根底から間違っているのよ。
お兄ちゃんがあの人より自分を選んでくれたから幸せになれた、相手が不幸になったと思っているでしょうね。
でも本当は違うわ。お兄ちゃんは最初から琴子ちゃんを選んでいたんでしょう?
なのに、自分の為に欲しくも無い玩具を手に入れたけれど、
一度捨てた大事な玩具が誰かの手に渡りそうになって悔しくて引き戻しただけ。」

言葉が出ない

「琴子ちゃんはずっとあなたを疑い続けるわ。あなたの周りにあなたを好く女性が居る限り。
いいえ、そんな女性が居なくても。」

グッと喉に何かが詰まっているようだ

「あの人と自分だったら、お兄ちゃんはどっちを選ぶだろう。…今の自分と沙穂子さんなら、どっちを選ぶんだろう。
あの時はお兄ちゃんは自分に本気だったとしても、自分を選んだ事を、お兄ちゃんは今になって後悔しているんじゃないか。」

紀子は腕を組み、口の端を少しだけ上げて皮肉げに笑う。

「あの子は多分一生そういう風に考えるでしょうね。どんなに自分が素敵かなんて知らない、自分に自信が無い可愛い琴子ちゃんだもの。一度あった裏切りを、忘れられるほど琴子ちゃんは馬鹿じゃないわよ。」

出来る限り表情を崩さないようにしておふくろを見る。確かにそうだと思った。きっとそれは外れていない。

「…諦めてさっさと結婚なさい。あなたの事だから、きっと、色々落ち着いてからと思っているのかもしれないけれど。…琴子ちゃんはそうやって一人にしている間にあなたのした事を思い出して不幸になるわよ。」
「だから二週間後なのか。」
「そうよ。今回の件が無かったらあたしだって待ったわ。」

おふくろが見たいから、やりたいからって言うのは建前だったのか、と溜息をついた。
この人の演技力だけは、本当についていけない。

「…とりあえず式だけだからな。入籍はおれの好きなようにする。」
「いいわ。一番大事なのは『お兄ちゃんは一生琴子ちゃんのもの』って琴子ちゃん自身に思ってもらうことなんだから。」

そう言うと、くるりと踵を返しおふくろは部屋を出て行こうとする。
そして扉を閉めようとする瞬間にこちらをちらりと見ていつもの琴子に向ける朗らかな笑顔で言い放った。

「…琴子ちゃんはあたしの可愛い娘ですからね。」


まいった。降参だ。
あそこまで言われたら流石のおれも反対なんて出来ない。

「ったく…しょうがねーな…」

何せ、本当に相手に溺れているのは、琴子じゃなくおれなのだから。





その後、おれは本当の意味でそれを琴子に何度となく突きつけられる事になる。
新婚旅行での喧嘩、鴨狩啓太との揉め事…
ただそれはおれが琴子にしてしまった罪に対しての罰だろう。




それでも自分は…

「…あの時お前を裏切って悪かった、琴子」

そんな一言が、今も琴子には言えていない。



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【たまち様】コメントありがとうございます!

たまちさん いらっしゃいませー!

御嬢との見合い時期も嫌いでは無いんですが、やっぱり無意識身勝手な一回入江くんを
誰かが締めてやらねば!と、こんな話になりましたw

丁度時期が被りますもんねー!
まず入江くんの歪みを叩いて直しました(昔のテレビじゃあるまいし)

あの時期の入江くんは確かに大変だったかもしれないんですが、
なんだかんだで直樹は凄く恵まれてるんですよね。
それを当然だと思ったままじゃ駄目だ!同じ事を繰り返すぞこいつ、とw
紀子はそれを女性として一番近くで見ていた人だと思うんです。

コメントありがとうございましたー!

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