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高校

2人きりの夏休み【二晩目】

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「おはよ…」

次の日の朝、早めの朝食を済まし、コーヒーを片手に新聞を読んでいると、夏休みの課題に追われる瀕死の琴子がよろよろと出てきた。

「すっげえクマ。さぞ出来たんだろーな。」
「…1ページも…」
「え」

話を聞くと、どうやら本当に進んでないらしい。
首をかしげて自分に助けを求める琴子にきっぱりとそれでもおれは断りをいれる。
おれは今から約束があるし、夜も当然お断りだ。

テキストを手伝う気はさらさらない。

それでも琴子が本気で困っていることはわかった。

「F組の連中と見せ合いすればいーだろ」

足りない頭でも数で補えばそこそこあっているかはともかく、今より間に合うんじゃないのか?
そう思い口に出したつもりだったが、

「一年の時やったの。でもみんな間違いが一緒すぎてバレちゃったの。それからチェックきびしくって…」

そういわれたらそうかもしれない。
大体間違える箇所を捏造するにしたって、答えが合ってる事が前提にあって、そこからさらに変えるっていうのが普通だろう。
全体的に間違える人間が集まって、答えを写しあっても似たり寄ったりで教師には即行バレるのはあたりまえだろうな。

「じゃ、おれ、友達と会う約束してるから。」

救いようが無いと思いつつ、席を立つ。
まあ、提出できなくて泣くのも悪くないだろ?お前の人生なんだし。

おれはそうして家を出たのだった。





___________



入江くんひどい!ちょっとくらい手伝ってくれてもいいじゃない!
玄関で入江くんを見送ると、あたしは寝不足で頭痛がする頭を引き摺りながら自分にもとコーヒーを入れようとよろよろと戻った。

「あれ…?」

さっきは入江くんと話してて気がつかなかった。
トーストに目玉焼き。そしてサラダ。自分の席に既に朝食の用意が出来ている。

「もしかして」

入江くんが、自分の分も?と首を傾げる。

「…入江くんやっさしーい!」

とたんに疲れがふきとんで、自分が上機嫌になるのがわかった。
ふふ、なんだか耳元がこそばゆい。

これを食べたら頑張ろう、できる所まで!


___________






「よぉ、入江!課題終わったー?」

約束の待ち合わせ場所。渡辺が茶目っ気たっぷりに声をかけてきた。


「…なんだよ渡辺、お前も終わってないのか?」
「いやいや冗談だって!っていうかお前もってどういうこと?お前が課題終わってないなんて一度も無いだろ?」

ん?と考える渡辺に、はぁ…と溜息をつく。

「知ってんだろ、うちに居る奴」
「あー!琴子ちゃんが今追い込み中って事か」
「『宿題は最後の2日にやるもの』なんだとさ」
「まさか!どっかの漫画じゃあるまいし…」

あはは、と渡辺が顔を引きつらせている。

「そのまさか」
「え…あ…マジで?まあ…なんというかあの子らしいっていうか…」

A組の人間は基本的に外部受験が多い。
だから夏休みは大体勉強している奴が多く、最低課題である学校の提出物なんかはできるだけ早く仕上げてしまう。
その上で夏期講習などに通ったりしている人間が殆どなので、琴子のやり方などは笑い話にしかならない。

「お前が教えてやればいいじゃん!すぐ終わるぜ?」

渡辺がうんうん、と笑顔で言ってくる。お前も言うのかよ…
どう説明したものかと一瞬考えたが、まあ素直に答えてた。

「……が…居ない」
「ん?」
「…今、家に親が居ない」

渡辺が驚いた顔でこっちの顔を覗き込んでくる。なんだよその顔。

「家族は全員九州に行った。この二晩帰ってこない」

表情を変えずに淡々と言葉をのせる。

「普通その状況で一晩中教えたりしないだろ」
「え…うん…そうだな…」

少し気まずそうに渡辺が顔を赤くして逸らした。
そして『なんか食おうぜ?喫茶店でも入るか』と、渡辺は突然話題を変える。




「お前…どうでもいいような顔しながらしっかり琴子ちゃん女として意識してんじゃん…」

渡辺のそんな小さな呟きは、俺の耳には届かなかった。





………




「い…入江くんお帰りなさい…」

家に帰ると、ふらふらと玄関に琴子が出てくる。

「今日はお夕食…ちゃんと用意するから…」

目の下を真っ黒にしながら、えへ、と笑う琴子におれは冷たく『しなくていい』と告げた。

「なっ!」
「いい。お前にやらせたら何時間かかるか分からない」
「で…できるわよ!今日は!昨日はたまたま…!」
「課題はすんだのか?」

琴子がうっと言葉を詰める。その様子じゃ今晩もどうせ眠れやしないんだろう。

「おれが作る。お前は課題だけしてろ。」
「でも…」
「うるさい!」

ぴしゃりと言い放つと、琴子はしょんぼりと肩を落とした。きっと昨日のリベンジをする気だったんだろうな。
おれはそんな琴子を無視してリビングに向かおうとする。

「あっ!そういえば!」

琴子の隣をすり抜けようとした瞬間、自分の腕を思わずガシッと掴まれて、一瞬目を見開く。

「あのね!朝、ありがとう…!」

…朝食の事を言っているらしかった。

「別に。作る分には1人分も2人分も変わらないだろ。」

そんな事は今どうでもいいから手を離せ。
腕を掴む自分とは違う温度の柔らかい琴子の手に、軽くイラつきを覚えながら、さっと払いのけた。

「なによ!」
「さっさと二階上がれよ」
「わかったわよ!」

琴子はふん!と踵を返し、とたとたと二階に上がっていく。
掴まれていた部分がやけに気になって、眉間の皴が余計に深くなった。





………




―深夜――

自室でベッドに入り、横になっていると隣の部屋で呻っている琴子の声が聞こえる。
やっぱり課題が終わる気配が無いんだろう。

自分はなんとなく目が冴えて、眠れずに居た。

「バーカ…」

思わず電気が消えた自室の天井に向かって小さく呟く。
体の居場所がなんとなく無くて、寝返りを打つと、パタン、とドアの音がした。
どうやら琴子が部屋を出たらしい。

そのまま横になっていると、キィ…と自分の部屋のドアが開いて、部屋に廊下の光が差し込んでくる。

何してるんだあいつ…

一瞬自分の体に力が入る。おれは思わず寝た振りを決め込むことにした。
どうせおれの課題を探しに来たんだろうことはなんとなく察しがついた。

さっさと見つけて出て行けよ。

そう思っていると、琴子がいきなりぶつぶつと呟き、ガリガリと何かを祐樹の机で書きはじめたのがわかった。
どうやら祐樹がずっとつけていた、琴子の観察日記を見つけたらしい。


そんなもんどうでもいいだろ。何してるんだよ。早くしろよ。


そのまま結構な時間そこにいる琴子に、だんだんと腹が立ってくる。
目の端にちらちらと懐中電灯の光が入る。

そしてやっと琴子がおれの課題を見つける頃には、おれの我慢がきかなくなっていた。

「なにしてんだよ」

喜び勇んで部屋を出ようとする琴子の細い手首をグッと掴み、引っ張ると、琴子は物凄い顔で驚いている。

「な…なんでもないの…なんでも。じゃあおやすみ!」
「そーはいかないよ」

自分が起きていた事に動揺してどもる琴子を逃がしたりしない。
真っ赤になって目元をうるませ馬鹿みたいにいやいやする琴子を掴む手に力をいれた。

「ちがうのー!ちがうのー!盗んだってわけじゃないのーっ!ゆるしてーっ!」

ここまできても、琴子は課題を見ようとしたことで俺が怒っていると思っているのか、そんな見当違いの事を言っている。
違うだろ、お前が怖がらないといけないのは…

「わかってるよ。…夜這いしにきたんだろ?」

琴子の顔をじっと見つめながら言ってやる。

「えーっ!ち…違…違う、なにいって…!」
「こんな夜中に男の部屋に忍び込んで来るのはそれ以外ないだろ?」

予想外の言葉だったのか琴子が身を硬くした。
…普通の男は、そう思うんじゃない?

ぱくぱくと口を動かしながら目を見開いている琴子を見ると、本当に何も考えていなかったのが手に取るようにわかって。
自分に好きだとラブレターまで渡したくせに、男として自分をきちんと意識していない事に呆れるしかなかった。

「安心しなよ。ハジかかせないから」
「えっ…えっ」
「家にはおれ達以外誰もいないし」
「ち、ちょっとー!やだーー!」

ぐっと引っ張ると簡単に琴子の体はベッドに引き摺り込まれる。
シーツの上に自分とは違う女の体、長い髪が跳ねた。
柔らかな曲線を持った体を左右に揺らし、自分の下から逃げ出そうとする琴子に、おれは妙な高揚感を覚える。

「…アイツが言ってたじゃない。天才がいつケダモノになるかわかんないって」

口元に笑みがこぼれた。
あれだけ普段自分に絡んでくる琴子が、自分に男を感じて怯える様が面白くて。
怖いだろ?お前は甘いんだよ。

自分も何かおかしかったのかもしれない。
…調子に乗ってその首筋に唇を埋めようとした瞬間だった。

「そ、そりゃ入江くん、す、好きだけど!あたし達まだ、は、はやいと思うの!」

琴子のセリフに思わず体を止める。

「ま、まずは健全なおつきあいを…!!」

それを聞いて、おれは思わず、ぶっと全力で噴出してしまった。

何を言ってるんだこいつは。
というか、このタイミングで相手に好きだなんて言ったら普通アウトだろう!?
しかも健全な…健全なって…

どうにも自分のツボに入ってしまって、涙が出るほど腹を抱えて笑ってしまった。

なんだよコイツ、信じられねー!

琴子は目を白黒させながら、首までカッと赤くなっている。

「か…からかったわね!」
「そっか、おまえまだおれの事好きなんだ。ふーん。」

あまりにも意識してない風だったから、もう飽きたのかと思ってたよ。

「安心しろよ。健全も何も、別におつきあいする気ないから」

よかったな、『不健全なおつきあい』にならなくて。
自分の頭もさっきと違い、スッと晴れていた。

「ゆ…ゆってやる!入江くんに襲われたってみんなに言ってやる!」

馬鹿な奴。

「こんだけ噂されてるんだから今さらそんなこといったって、勝手にみんな想像してるだろ」


そう、こんな生活普通だったらとっくに…


しょんぼりと部屋を出て行こうとする琴子に、罪悪感が無いわけじゃなかった。
…さっきお前が俺が好きって叫ばなかったらおれは何をしていたんだろうな。

「おい、忘れ物」

俺は課題を手に取り、ひらひらと琴子に見せる。

「驚かしちゃったおわびしようと思ったんだけど」

なんとなく、こんなもので釣れるとも思わなかったけれど、そんな自分が気まずくてそんな事を言った。
しかし反応は予想外で。

「借りてあげてもいいわ!」

そんなあっさりとしたものだった。しかもさらに驚くような言葉を琴子は重ねてくる。

「おまけに手伝わせてあげてもいいんだけど!」

なんで今さっき襲おうとした相手とさらに嬉しそうに2人きりになろうとするんだ!

「ち…調子に乗るな!!」

そんな自分の叫びも空しく、一度勢いづいた琴子は早く早く!とおれの腕を部屋まで引っ張っていったのだった。





………





琴子の課題に結局朝までつき合わされ、徹夜で登校したおれは、帰るなりベッドに沈んだ。
なんとなく昨日の夜を思い出すが、自分自身なんであんな事をしたのかいまだによくわからなかった。

ふと、首元にツンと何か違和感を感じる。
そこに手をやると、長い何かが指先に絡んだ。

それは琴子が昨日そこに頭をついたときに落ちたのだろう、細く長い髪。

「呪いかよ…」

なんとなくきまりが悪く、ぼそりとわざとらしく呟いて溜息をつくと、思わず顔を顰めてその髪をゴミ箱に入れる。
そして、うとうとと眠りについたのだった。


___________







「ただいま琴子ちゃん!ごめんなさいね。いきなり家を任せちゃって。大丈夫だった?」
「おかえりなさいおばさん!」

その日の夕方、紀子と裕樹は重樹達より一足先に帰宅した。

「ごめんなさいね本当にいきなりで!お兄ちゃんは?」
「部屋みたいです」
「で、お兄ちゃんとは何かあった?」
「べべべ…別に何も…!」

琴子は紀子の質問にぶんぶんと顔を横に振る。
その様子に何も無かったとしても、2人の雰囲気は悪くなかったんだろう事を察すると、紀子はふふふと上機嫌に笑った。

「そういえば、その間のご飯とかどうしてたのかしら?」

紀子はなんとなしに聞いてみる。

「えっと…あの…あたしが作ろうとしたんですけど…」

ぼそぼそと琴子がうつむく。何か有ったのかしらと紀子が首を傾げると、琴子は驚くような事を口にした。

「うまくできなくて…入江くんが…えっと…作ってくれまし…た…
「えっ!」
「すいません…」
「お兄ちゃんが…」
「あの…」
「信じられない…料理までしちゃうなんて」

紀子は思わず、二人にして成功だったわ!とにんまりと口角を上げた。




そんな2人のやり取りなどつゆ知らず、直樹は夢を見る。

「…琴子…」

きちんと聞き取れもしないような小さな声で、直樹は夢の中の人物を呼んだ。
それがどんな夢だったのかは、起きた時には見ていた本人さえも覚えては居ないだろう。

名前を呼んだ直樹の声は限りなく甘く。


…その呼び声を琴子本人が聞くのはもっと先の話




_______________
ということで、あの2日間を。
区切りが悪く後半が長いですね。

どうにも自分は直樹の心情を考えるのが好きみたいです。

他のサイトさんの所のカッコいい直樹からすると、
あまりにも思春期の高校生してる感が否めませんが、これもまた一つの形として。
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【みかちっち~な様】コメントありがとうございます!

みかちっち~なさんいらっしゃいませー!

読んでくださってありがとうございますw
もう、直樹の心情を掘り下げる事が最近の楽しみで!
思春期いいですよね…ホント入江くん青い青い!!

IFものも凄く書いてみたいなー、こんなのやりたいなーっていうのはあるんですが、
いかんせん知識と文章初心者で長文に慣れなくて!
今後やると思いますので、その際は読んでいただけたら嬉しいです!

それではコメントありがとうございました!

【たまち様】コメントありがとうございます!

連続更新すいませんww
どうにもあれだけ上げて、後半上げないって事ができなかった堪え性のない自分です!

直樹は顔に優しさが出ないだけなんですよね。
顔の固さが、心の弱い部分、優しい部分の殻みたいなもんなんじゃないかなってw

渡辺君には直樹にどう接して貰おうか悩んだんですが、
数少ないテリトリー内に入れた友達として、少し口を軽くしてもらいましたw
なんだかんだで直樹の行動が元で色々とこの2人が進んでるように自分には見えててですね!
そうやってどっぷり琴子に浸かって逃げられなくなるわけですw

もうちょっと直樹の頭の良さを表に出してあげたいと思うんですが、
いかんせん自分が書くとただのアホの子ですいませんww
いいぞーもっと駄目な所を露出しろー!ってなもんです!

それではコメントありがとうございました!

【YKママ様】コメントありがとうございます!

YKママさん、いらっしゃいませー!
なんだか高校時代ばっかり増えてますが完璧に趣味に走らせていただいてますー!
イタキスは本当に、心情が琴子のものしかないんですよね。
そこが余計に自分の中で琴線にひっかかるわけですがw

入江くんの気持ちばかりで不安だったんですが嬉しいです!
あの、原作のコマの間の雰囲気とか、もう自分の中では、
ああなんだろうな、こうなんだろうなぁとニヤニヤしてしまう事ばかりでw
渡辺君も今後もっと出てきてもらいたいなーと思ってます!

これからもそんな青い入江くんをよろしくお願いしますw

それではコメントありがとうございましたー!
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